うめぞーの山登りブログ

山登り大好きオヤジの回顧録です。

熊野古道(中辺路)大雲取

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今回は前々から行きたかった熊野古道の一つである大雲取にチャレンジしてきました。
本当は小雲取も含めた行程にしたかったのですが約1ヶ月前から予約しても小口周辺の宿は取れませんでした。
なので一泊二日で大雲取・小雲取にチャレンジしようと考えておられる方は天候無視でかなり早い目の予約が必要です。(時期にもよると思います。)
また日帰りや小口からエスケープを考えておられる方も時間帯によっては交通のアクセスがかなり悪くなりますので事前の下調べが必要です。
コースの向きや小雲取を考えないのであれば一番いいのは勝浦周辺にマイカーを置いておき、朝一で新宮駅まで行き、新宮駅から小口までバスで向かい小口から那智山めがけて歩くのが時間的にも交通の便的にも融通は利くと思います。(タクシー利用もできますしね。)
それではコース案内です。
我々はまず前泊で勝浦駅近くのビジネスホテルに泊まり翌日(11月22日)勝浦駅にマイカーで到着しました。
ただ、コインパーキングを探したのですが無いので駅の方に相談したところ駅の駐車場を利用しても良いとのことで許可をいただき駐車させてもらいました。
(基本JRを利用すれば当日に限り無料、翌日にまたがるときは¥1000-必要です。)
駅前から那智山行のバスが一時間に一本出ています。(料金は大門坂駐車場前より先は一律¥620-片道です。)
我々は8:25発のバスに乗りましたが始発は6:25よりありますので足に自信の無い方は早い目のバスに乗ったほうが時間的な余裕ができると思います。
この時期(晩秋)は日が早く落ちますので小口には遅くても16時ぐらいには着くように計画をしてください。
我々はスタートを大門坂駐車場から切りましたがかなりの勾配を登ることになりますのできついと思われる方は那智山神社お寺前バス停(終点)から登られることをおすすめします。
(それでも那智大社までは急な石段が続きます。)
ただ、大門坂から登る方が情緒もありますし古道の起点でもあるのと何よりウォーミングアップができるので体の負担も少ないと思います。
大門坂駐車場にはトイレもありますので用意をすませるには最適と言えます。
我々はここで登山用の用意をして観光客に混じりながら大門坂を目指します。
途中、地元の方にお会いしたのでご挨拶をすると「山越えるんか?」と優しく声をかけていただいたのでそうですと答えると気をつけてなと言っていただき地元の方の暖かさに触れ嬉しかったです。
大門坂はその入口に樹齢800年の夫婦杉がそびえ立っており情緒があります。
また夫婦杉の左手前にはお茶屋さんがあり、平安時代の衣装をお借りできるので観光客には人気のスポットです。(ただ、人は多いので歩きにくいです。)
約800m程の石畳を抜けるとお土産物屋さんの敷地を左右に抜けることになりますが基本参詣道は右の階段を上ります。(上がったところがバスの停留所になります。)
ここからはお土産物屋さんに囲まれた参詣道を那智大社まで上りますが全て階段になりますので足を痛めないように注意してください。
階段を上がり切ると目の前に那智大社が右横には青岸渡寺がその威容を佇ませます。
我々は両方にお参りを済ませこれからの山行の安全祈願をします。
しばらく那智の滝を眺めたり那智山の雰囲気を楽しんだ我々は青岸渡寺の鐘楼横にある古道入口から大雲取を楽しむため出発します。
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(有名な那智の滝です。眺めは壮大です。ちなみに拝観料が必要ですが左の三重塔から見ると圧巻です。)

 入口から早速石畳が始まり、しばらく進むと最初の分岐があります。
左へ行けば妙法山の方面ですが現在は通行止めになっています。
小口方面は右へ進みます。(基本ここからの道標は全て小口への表記になっているので那智山から小口を目指すときは小口方面へ、逆に小口から那智山へ行く場合は那智山方面へ進路を取ると間違いありません。)
しばらく進むと最初の道標(御影石で出来た立派な丁石です。)があります。
この道標は熊野古道お馴染みの番号道標となっており那智山から小口まで29もあります。
道標の間隔は約500mとなっていますので距離を測るのにも万が一遭難した場合も自分の居場所を伝えられますので意識的に現在何番か覚えながら歩くといいでしょう。
私は例によって一番から二十九番まで写真に収めました。(こういうの大好きです。)
最初の番号道標からしばらく進むと那智高原公園の入口に到着します。
ここからは左手にアスレチックの遊具を眺めながら緩やかな芝生の道を進みます。
芝生の道を上りきると頂上にはトイレがありますので済ませておきましょう。
ちなみにここから地蔵茶屋までは一切トイレはありません。
トイレから車道を斜めに横切ると大きな石碑がありますので目印に、その左側から再び古道が始まります。
仙右衛門坂と呼ばれる情緒たっぷりの坂を上っていくと石垣に囲まれた登立茶屋跡があります。
ここからは急登になっており足元はコケで滑りやすいので注意してください。
頑張って登った先が船見峠で少しルートから外れますが大きな東屋がありますので中休憩や大休憩を取るのもいいでしょう。
天気が良ければ太平洋まで見渡せるそうですがここ船見峠は絶えず霧が立ち込めるような場所でここからの下りは八丁坂(別名、亡者の出会い)といい死に別れた親兄弟や知人が白装束姿で歩いているのに出会うと言われるほど幻想的な場所です。
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(八丁坂に近づくに連れて幻想的な霧が立ち込めてきました。)

 我々が通過した時も霧がいきなり立ち込め一気に幻想的な道となり感動しました。
(それまでは全然霧など無かったんですけど・・・)
ここから色川辻までは結構な下りになりますので足を痛めないようにしてください。
色川辻に出ると一旦林道(アスファルトの道)に出ますがここはすぐに古道とアクセスしているので全然苦にはならないと思います。(直ぐにわかります。)
その昔に行き倒れた方を弔うためでしょうか?このあたりからやたらとお地蔵さまが目立ちます。
幻想的な空間にお地蔵様や鳥居を見ながら静かに古道を進むのは厳かな気持ちになります。
道も一段と苔むしていきこのまま進むと我々もコケと同化して行く様な気分になります。
ところがそんな気分も束の間でいきなりまた林道に出ます。
どうせ直ぐに古道と連動しているだろうとタカをくくって進むのですが???いつまでたっても古道の入口がありません。
友人が心配になったようでもう一度さっきの出てきた場所まで戻ろうというので出口まで約200mほど坂道を上り返します。
そこから慎重に道標や看板を見ながら進みますがやはりそれらしい場所は無く、引き返しを決めた場所まで戻ってしまいました。
地図を見ても古道と林道は何回か交錯しているようですがずっと林道を歩くようにはなっていません。
ただ、林道をそのまま進んでも地蔵茶屋にはいけそうなので相談の結果、林道を下ることにしました。
すると最初に引き返しを決断したところから僅か10mほど進んだところに番号道標があったのでもう500mほど林道を進んでみることにしたのですが見事に500m先に番号道標がありました。
そこから推察するに最初は古道が別に有ったようですが長雨か台風の影響で現在のルートに替えられたのでは?ということに至りました。
確かに本来のルートと思われる道が川を挟んだ左側に見え隠れしているのですがところどころ崩れておりとても現在は歩けるようには見えません。
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(ガードレールの向こう側によく見ると旧街道が見え隠れしていますが現在は歩けません。)

 私の地図にも本来のルートは川を右手に見ながら進むとあったので(林道からは川は左側です。)おそらく現在はこの林道を進むのが正解なのでしょう。
番号道標も林道にちゃんとありますので道標通りに進めばやがて前方に地蔵茶屋が見えてきます。(地蔵茶屋手前に崩れかけた木造の橋がかけてあったので本来のルートはここに出るようになっているのでしょう。もちろん現在は通行禁止となっています。)
迷いながら進んだので予定していた時間より少し遅くなりましたがここで元々昼食を取る予定にしていたので東屋の中で昼食を取ります。
ちなみに東屋の前の車道の向かい側に綺麗な休憩所があります。
そこなら風もよけられるのでいいのですが我々はストーブでお湯を沸かすため敢えて東屋で休まさせていただきました。(休憩所は火気厳禁となっており火を使うのははばかられました。)
食事を済ませた我々は一路越前峠を目指します。
越前峠まではその手前の石倉峠を乗り越えなくてはなりません。
これがまた結構な急登になりますので特に休憩後は最初はゆっくりと進みましょう。
すごく素敵な石畳で苔むした道がこの世のものではないぐらい幻想的ですが石の角度が下り方向に傾いているのでかなり滑りやすいです。
また斜度もそこそこ急ですので一旦足を踏み外すとかなり下まで滑落してしまいます。
ここは慎重に進んでください。
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(幻想的な素敵な道なのですが足元のコケには注意が必要です。滑って転ばないように。)

 熊野古道は前回の中辺路でも言いましたが基本アップダウンの繰り返しです。
船見峠が863m、地蔵茶屋で約700mまで下り、またもや越前峠が870mとかなりのアップダウンをくり返し進むことになります。
それに付け加え全体的に道が苔むして滑りやすいので普通の登山より気を使います。
距離も那智山から約15km、大門坂からなら17kmほど歩きます。
ペース配分や休憩のタイミングに気をつけてください。
ちなみに小口に出るまで一切のエスケープルートがありません。
当然ですが小口まで公共交通機関はありません。
越前峠からの下りは胴切坂と呼ばれこの大雲取最大の難所とされています。
早い話、870m(越前峠)から65m(小口)まで一気に高度を下げていくのできついわけです。
我々は日が暮れるまでに円座石に到着したかったので頑張ってスピードを上げていきます。
なんとか明るいうちに円座石に着いた我々はその素敵な姿に感動します。
写真を撮りまくりながら去年あったこの円座石からコケをむしった事件を思い出します。
去年の今頃、心無い人のせいでこの円座石からコケが剥ぎ取られるという痛ましい事件があったのですが今は昔までとは言えませんがそれでも全体的にコケが復活して趣のある円座石になっていました。
我々は胸を熱くしながら円座石に別れを告げて小口から帰りその日は宿泊先で祝杯をあげました。
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(円座石です。コケが元に戻ってきたので本当によかったです。)