うめぞーの山登りブログ

山登り大好きオヤジの回顧録です。

山と健康(メンタル)

ドモヽ(*´ω`*))((*´ω`*)ノドモ
お元気ですか?うめぞーです。

前回、メンタル部分について語らせていただくと言っていましたので今日はメンタルです。
これはパーティでしか活動したことがないもしくは活動しないという方にはあまりピンと来ないかもしれません。
しかしメンタルを鍛えておかないと例え仲間が大勢いても実際その場をクリアするのはあなた自身なのです。
例えば鎖場・・・登っているときはいいのです。上ばっかり見てますからそれほど恐怖は感じません。
問題は下り、ふとなにげに下を見たとき恐ろしい程の高度感を感じたときあなたは冷静でいられますか?
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(これは剱岳の平蔵の頭と呼ばれる鎖場です。これは上り専用ですがここはメンタルにきますよ。)

上記の写真は剱岳立山連峰)の平蔵の頭と呼ばれる登山道を塞ぐように隆起した岩なんですがこれを乗り越えて剣沢方面に下るルートは12番と呼ばれる鎖場を越えていかなければなりません。
ここが最大の難所なのですが何が怖いかって・・・鎖と鎖の間が約5~6mほど離れているのです。
その間、足場は30cmあるかないか・・・・下を見れば断崖絶壁・・・高所恐怖症でなくてもめまいを起こしそうな場所なんです。
イメージ 2
(赤線が鎖場、点線は・・・・何もない足場・・・当然踏み外せば・・・・終わりです。)

どうですか?これはいいお天気の日ですから難易度は見たまんまですがこれで雨が降ったり岩が濡れていたりすると難易度はMAXまで跳ね上がります。

前回の山小屋での宿泊で少し語りましたが山での途方に暮れる三大要素が・・
1、道迷い(遭難の実に9割近くが道迷いから発生しています。)
2、クマとの遭遇
まあ、人というのは一人でない限り1番と3番はなんとかなると思っています。(話し相手がいるから)
確かに人数が10人もいれば道迷いしたとしても心が乱れることはそれほどでもないでしょう。
・・・・・と思うでしょう?皆さんはたま~にテレビとかで遭難者の捜索の結果、なんとか救出成功などと言う報道を見られたことはおアリだと思いますがその時のパーティが後のコメントで「いやぁ、人数がいたので全然不安なんか感じませんでした。」・・・こんなコメント聞いたことありますか?ないでしょ?
大抵「不安でした・・・」ボソッと一言・・・これが普通なんです。
逆に一人で遭難した人の方がコメントには力があります。
「少しだけ持っていた非常食を細かく分けて少しずつ食べ、水は雨水や朝露を舐めて凌ぎました・・・」こんな65歳の山菜採りに来られていた方のコメントを聞いたことがあります。
初日のビバークは確かに人数がいるとみんなで励ましたり慰めたりでメンタルが癒されるのですが・・・
だんだん日数が経つに従い、不協和音が起こるのが人間なのです。
例えば遭難したことをリーダーが悪いと責任を押し付けたり、リーダーが居ないパーティなら最初にこの道を選んだ人が悪いなど怒りの矛先を誰かに向けるため救出された時に口数が少なくなるのは少なからず人間不信に陥りかけているからなんです。
もちろん、人数が多い方が助かる可能性も大きくなるでしょう。(体力があるものが救出を求めて下山するなど)
ですが人数がどれだけいようが心の問題はあなたご自身の問題です。

とまあ、前振りが長くなりましたがじゃあメンタルを鍛えるにはどうするの?・・・・実は鍛えるといってもこればっかりは人それぞれ、元々心が強い人もいればちょっとしたことですぐ心がくじける人もいます。
一番いい方法は慣れる・・・これしかありません。
高度がある山に通い高度を徐々に克服する。最初はキャンプ場で一人でツェルトで寝泊りする。
単独で山に登る、単独で一泊ないし二泊ほど山に行く、避難小屋に一人で宿泊するなど・・・
少しずつ場慣れしていくしか仕方がないのですが・・・落ち着く方法はあります。
それでは検証していきましょう。

その1、例えば道に迷った⇒慌てても仕方がありません。焦っていろんな方向に動くと体力を減らしますし何より深みにはまります。
まず、水を飲みましょう。(タバコを吸われる方は火気に気を付けて一服しましょう。)
得てしてこういう時は心の中が「どうしよう、どうしよう、(;´Д`)困った~」とパニクっています。
当然動悸が上がり呼吸が浅くなり正常な状況判断ができなくなっています。
こんな時にこそ水を飲むのです。(出来ればどっかりと座り込むとより落ち着きます。

その2、水などを飲んで少し落ち着いたらゆっくり立ち上がり周囲を見渡しましょう。
大体不安要素がある場合、人は視野が狭くなっています。
道に迷って夕暮れが迫っているとか雷雨が近づいているとか・・・こういう時は気持ちばかり焦ってひたすら山道を下りがちです。
こういう時こそ周囲を見渡せるようになれば発見も多々あります。
少し離れたところに稜線が見えた、避難小屋らしきものが見えた、他の登山者が見えた・・など起死回生のものが見える場合もありますし何より少なくとも冷静になれるので来た道を戻ろうとか地図で現在地を確認しようとか生きるための戦いが始められます。

その3、ジョークを思い浮かべる。
意外と思うかもしれませんが自分が生きてきた中で何回聞いても笑えるという鉄板のギャグを思い浮かべたり口に出して言ってみたりするとその場でしばらく笑えるでしょう。
これがパニクった時に一番重要なのです。
ジョークやギャグで笑えるということは心が正常化してきた証拠です。
そうなると「あれ?俺なんでこんなことでビビってるんやろ?まだ足も充分動くし最悪ビバークでも一日耐えられるだけのご飯も水もあるやん。」などと自分を客観的に見ることが出来るのです。
そうなると稜線を登り返すのか?適地を見つけてビバークして明日に賭けるのか?携帯電波が入る場所まで移動して救助を求めるのか?周囲と時間、自分の体力や装備と相談して決めることが出来るのです。

人間はメンタルが弱いのが普通です。
それが証拠にどなたでも少しのきっかけでうつ病を患ったりパニック障害に陥ったりします。
実は私も30歳ぐらいの時にパニック障害に陥ったことがありました。
私のいとこ(私より8歳上)が仕事の昼休みに車の中で寝ていたところ心臓発作で帰らぬ人に・・・
びっくりしました・・・・だって健康で元気な奴だったんです。
奥さんが長女で後には妹しか居なかったので婿養子に行ったのですが先方のお父さんにもよく尽くし田んぼなどを休日に手伝っているような好青年だったんですが・・・無理してたんでしょうね。
で、それからです。同じ血が流れている私としては年もさして変わらないいとこが死んだということは・・・・
自分も寝ている最中に逝くのでは・・・そう思うとまず眠ることが恐ろしくなり不眠に近い状態に・・・・
寝入りっぱなに過呼吸になって起きる、不安で押しつぶされそうになって夜中に救急車で運ばれる。
車を運転していても「このまま心臓が止まったら・・・」そんな感情に襲われ過呼吸に陥ったりと生活に支障が出てきました。
それまで精神が弱い人のことを軟弱だからだとバッサリ切って相手の身上を思いやるということをしなかった私はいざ自分がなると情けないやら悔しいやらでますます悪化していきます。
もちろん、嫁さんや友人が躍起になって何とかしようとしてくれたのですが・・・
こればっかりは私自身の問題なのでどうしようもありません。
そんなある日(休日だったのですが・・・)朝目が覚めてしばらくボーッとしていた私の耳に鶯の鳴き声が・・・
なんとな~く聞いていた私は「死んだら鶯の声も聞けんのやな~」と思った瞬間にある意味悟ったんです。
「そっか、朝目が覚めるということは生きてるんや!死んでたら目が覚めへんし大体目が覚めへんということは気づかないということやからそれまでなんや、それやったら生きてるだけでエエんちゃうん?」と思ったのです。
そんな時です。明石家さんまさんが「人生生きてるだけで丸儲け」とおっしゃっていたのを思い出したのは・・・
それからはまるで今までがなんだったのか?というほど急速に回復して今では少々のことには動揺しなくなりました。
私の根底には今までの臨死体験から何か目に見えない力で生かさせていただいているという思いと生きているだけ丸儲けやないかいという思いが流れています。

自分のメンタルは自分にしかわかりませんし誰かと共感できたとしても解決できるとは限りません。
ただ、心を落ち着けることはできますし逆にできないと山では多々支障が出てきます。
普段からメンタル部分に自信がないな~という方はそれを補う何かを見つけましょう。
例えば私のように常日頃からどんな山にでもある程度の装備を持っていけば最悪なんとかなるという心の支えになるでしょう。
体力をつけていればビバークしても1週間ぐらいなんとかなります。(水は必要です。(笑))
クマは基本的に人を襲いません、襲われるのは我々の心がクマに反映した結果なのです。
クマだって生き物です。当然我々がクマを恐るようにクマもまた我々を恐るのです。
山に入るということはそういった野生の生き物たちの領域を侵すということです。
だから事前に「これから人が山に入りますよ~」と教えてあげるために鈴を付けるのです。

人間は身勝手です。相手はなにもしていないし悪気もないのに勝手な思い込みや勝手な行動で相手を怒らせているだけなのに都合が悪くなると排除しようとします。
六甲なんかでは猪に襲われた、だから行政は猪を駆逐するべきだと声を荒げる人がいます。
ちょっと待ってください、本当に猪が悪いのでしょうか?元々あのあたりは野生のイノシシの住処です。
そこへ人間が勝手に入り込み自分のエゴで餌を与え、都合が悪くなると排除・・・なんともはやです。

山が怖いのは全て我々の心が反映した結果なのです。
暗闇が怖い・・・これは太古の昔より人間に刷り込まれたDNAの負の遺産です。
獣もそう、人間が勝てないから畏怖するようにDNAに刷り込まれているのです。
これは本能なのですからそうそう覆りません、ならば慣れるしかないのです。
幽霊が出たら?熊が出たら?そんなもん街中で交通事故に出くわすより確率は低いでしょう。
高い山で足がすくむ・・・当たり前です。人間には生存するための本能が働くので危険なところに近づくと自然に恐怖を覚えるようにできているのです。
ただ・・ね、周りで「大丈夫」とか「たいしたことないよ」とか安直なことを言わないであげてください。
当事者は言われれば言われるほど自分が惨めになっていくのです。
誰彼構わず山に連れて行くのではなくその人の性格をよく知ってあげることも大切です。
よくね、ゴルフやスキーなどちょっとかじった初心者に毛が生えたような人が周りを誘うことが多いですが(教えたがりな方が多いんですね。)山はそんなに単純なものではないです。
恐怖=本能です。克服するのには時間がかかります。
まずはゆっくりでいいのでなれていきましょう。メンタルは筋肉と違いそうそう鍛えられません。
しかし、慣れていけばそのうち「前までは怖かったけど今はそうでもないな。」とか「怖いけどこれさえ乗り越えればその先には素敵な景色が待っている。」とか恐怖が脳内変換されていきます。
同行者は自分とほかの人は感性が違うということに心を配りましょう。
自分が大丈夫でもほかの人は大丈夫じゃないかもしれないと知ることで計画も無理がないものになります。
これから季節が良くなっていくので高山に出かける方も増えるでしょう。
そんな時、特にリーダーさんや幹事さんは私の言葉を思い出してください。

みなさんが素敵な山行をされることを心から願い、山の事故が少しでも減れば幸いです。
でわでは~~