うめぞーの山登りブログ

山登り大好きオヤジの回顧録です。

山と健康(パーティ登山について)

どもども、うめぞーです。
先週は白山へ友人と行ってきました。
白山は日本三大霊峰の一つで(富士山・御嶽山・白山が三大霊峰)古来より信仰の厚い山の一つです。
まあ、今回のタイトルを書こうと思ったのは以前に単独行について取り上げたのもありますが昨今の登山者のマナーが悪かったのと私が実際に体験したことを皆様にお伝えすることで理解を深めていただくのが狙いです。

パーティとは気取った物言いですが元々登山言葉ですのであまり気になさらないでください。
要は2名以上のグループをパーティと呼んでいるのですがここにポイントがあります。
皆さんは登山をするときどれくらいの人数が多いですか?またどれくらいの人数なら苦にならないですか?
人にもよるのでしょうが大体2~3名程度が一番多く、またそれくらいの方が苦にならないという方が多いようです。
また苦にならないと答える方の大半は社交的か体力がありそれなりの登山歴がある方が多いようです。
普通のパーティのあり方は先頭にはリーダーもしくはサブリーダーが立ち、その後ろが一番脚力の弱い人で徐々に脚力の弱い順から後ろへ行き最後尾にリーダーもしくはサブリーダーという布陣が一般的です。
これは早い話、リーダーがたえず一番足の弱い人のペースをつかみながら登るのに最適だからなのですがこんな簡単なこともわからない人たちがグループ登山(あえてパーティとは言わない)をするとどんな感じか少しドキュメンタリーチックにまとめてみましょう。

主婦Aさん(55歳)はご近所でも評判の明るい人柄で誰とでもすぐに仲良くなれる性格でした。
普段からママさんバレーにも参加して体力にもそれなりの自信がありました。
やがて季節もめぐりAさんの家庭が順番で町内の班長になることになりました。
月に一回程度ですが班長会議というものが有り、そこで同じ区内のほかの班長さんといろいろな会議をすることになりました。
それまでは本当に近所の付き合い程度しかなかったのですが隣の班の方とも知り合いとなりAさんの性格も手伝って交友の幅が広がっていきます。
そんな中、他の班の班長さんであるBさん(主婦60歳)と親しくなりいろいろお話をすることに・・・
最初は子育てや親のこと、旦那のことなど愚痴ともつかないたわいもないことを話す間柄だったのですがたまたまAさんがママさんバレーをしていることがわかったBさんは「Aさん、バレーしてはるの?それやったら体にも自信があるでしょう?実は私も山登りが好きで結構そこいら中に行っているのよ。よかったら今度一緒にどう?」と言われあまり興味のなかったAさんは「じゃあ、また今度誘ってください。」と社交辞令的に返しておきました。
ところが普段あまり一緒に山へ行ってくれる人がいなかったBさんはここぞとばかりに誘ってきます。
最初は適当な用事でごまかしていたAさんもだんだん断りきれなくなってきて仕方がないので仲良しのCさんも誘います。
CさんはAさんとは仲良しですがBさんとは面識がなくこれもまた保険でDさんを誘います。
DさんはAさんもBさんもCさんもそれなりに知っている人なのでこれもまた快く引き受けます。
こうして主婦仲間で出来た登山グループが立ち上がりました。
4人とも丁度年齢も近く子供も皆独立していたため結構行こうと思えば平日でも行くことができます。
最初の方は月に一回程度で近郊の山へ行っていたのですが近場でもありそのうちもう少し登りごたえのある山へ行こうということになりました。
出来れば2泊三日で温泉も楽しめる山がいいね。ということになり選んだ山は奥穂高です。
発案者はもちろんBさんなのですが実はBさんも行ったことはなく登山ガイドや山岳の本で聞き知った情報だけで決めてしまいました。
コースの振り分けは初日、上高地を9時に出発して涸沢ヒュッテに到達、初日の行程終了。
二日目、涸沢ヒュッテを早朝5時に出発してザイテングラード経由で奥穂高山荘へ二日目の行程終了。
三日目、奥穂高から前穂高経由で岳沢から下山、上高地に至るという実にざっくりしたプランを立てました。
当日空は晴れやかに冴え渡り絶好の登山日よりとなり4人の気分はマックスです。
初日は平地ばかりだから大丈夫よとBさんはみんなに伝え、ほかの人もBさんの言うとおり上高地から平坦な道をハイキング感覚で歩けることから何も気にせずおしゃべりに夢中になって歩きます。
また途中に明神や徳沢といった休憩に適した場所があるためイワナを食べたりしてゆっくり進みました。
ここに最初の落とし穴があったのです。
通常、このコースを普通に行くのなら初日は横尾で宿泊するのが一般的です。
なぜならほぼ平坦とは言え上高地から横尾までは休憩なしのコースタイムで約3時間かかり休憩しながらだと4時間ほどかかるのです。
当然9時になんか出発したら健脚の方でないと涸沢ヒュッテに着くには7時間ほど見ておかないといけないので早くても午後4時を回る計算です。
案の定、ちんたら歩いてきた仲良し4人組は横尾山荘で休憩していた時に宿泊者から「宿泊しないんですか?」と聞かれBさんが涸沢ヒュッテでと答えると「え~今からですか?それなら急がれた方がいいんじゃないですか?ここからは道も厳しくなりますよ?」と言われ大慌て。
横尾山荘から涸沢ヒュッテまでのコースタイムは約3時間程度ですがここからは急登もあり平地の3時間とは訳が違います。
ちなみにBさんは山岳ガイドを見るときに景色やコメントに心を奪われよく内容を把握していませんでしたがこのコース2泊3日は上級者向けですので初心者の4人組が挑むには無謀な日程ですが・・・・
果たして本谷橋を渡った頃から一番後ろを歩いていたCさん(58歳運動経験はほとんどなし)が遅れ出しました。
最初こそ仲の良いAさんとDさんが交互に声をかけていましたが急坂のせいでそれもままなりません。
Bさんはと言えば地図もガイドブックも持ってはいますが一度も来たことがない道であり後どれくらいで涸沢ヒュッテにたどり着くかわからないため気が焦って来ています。(読図はおろかコンパスもありません。)
当然、午後4時頃ですので下山者も皆無で情報を得ることもできません。
と、そこへAさんがやってきて「Bさん、ちょっとペース落としてもらえません?Cさんが追いついてこれないんです。」と訴えてきました。
Aさんにとっては当然の訴えでありCさんをほおってはおけません。
しかしBさんは時間も迫ってきているので先を急ぎたいのですがここは仕方がないのでCさんを待ちます。
約10分ほど待っているとやっとCさんが追いついてきました。
元々、少し肥満気味なCさんは普段の運動不足も手伝ってかなり苦しそうでした。
気がせいているBさんはCさんも追いついたので先へ急ごうとしますが今度はDさんが怒り出します。
Dさん(53歳このグループ最年少ではあるが勝気な性格、運動はそこそこしている。)はBさんに「Cさん今追いついたとこですよ?せめて10分ほど休憩とってあげればいいじゃないですか?」と言いました。
Cさんはみんなに気を遣い「私は足が遅いから先へ行ってください。必ず後から追いつきますので・・」と言いますがそんなことはさせないとDさんは心の中で思い、Bさんは日が暮れる前に着きたいと気が気ではありません。
Aさんはだんだん4人の間に不協和音が流れてきていると感じました。
その後、なんとか日が暮れる前(といっても午後6時頃着でしたが)に涸沢ヒュッテに到着した4人はなんとか部屋も割り振ってもらい夕食も済ませ小屋の売店でビールも買ってくつろぎ始めます。
人間とは現金な物であんなに苦しかったのにこうして綺麗な夕景や夜景を満喫しながら飲むビールに全て流され嫌なことは忘れていきます。
Aさんは先程まで感じていた不協和音が消えてなくなっているので「これで明日からはいつもどおり」と喜んでいたのですが・・・・その喜びは部屋に帰った時に吹き飛んでしまいました。
元々大部屋なのでほかの方との相部屋だという認識はあったので厚かましいかな?と思いながら最初に荷物を置いていた場所は結構なスペースをとっていたのですがあっさりと片付けられ部屋は一人0.5疊あるかないかの激狭スペースになっており荷物を広げるのもかたずけるのも一苦労でおまけに周りの人から「うるさい」と怒られる始末・・・そうです、夏の山小屋は超過密になることを全員知らなかったのです。
おまけに山は原則早着き、早立ちなので午後7時を過ぎると寝ている方も多くいらっしゃいます。
当然ですが静かにするのがマナーです。
なんとか怒られながらも寝床に入り寝ようとするのですが神経が高ぶってなかなか寝付けません。
そのうち室温が異様に高くなってきて暑くて寝ていられません。
それでも我慢を続けていましたがそのうち一番疲れていたと思われるCさんがイビキを舁きだしました。
元々少し太めのCさん、酒の力もあり疲れていたのも手伝っていつもよりボリュームが大きいです。
もちろん仲良しとは言え泊りがけでどこかへ行くのは初めてだった4人はそれぞれの癖を知りません。
Aさんはまたもや来たことを後悔し始めます。
悶々としながらもいつしか眠ってしまったようで朝、Bさんに起こされます。
周りを見てみるともう残っているのはAさんのグループだけのようです。
何時か確認すると当初の予定を大幅に遅れてもう8時前です。
Bさんは6時頃には起きていたようですがほかのみんなが疲れているのを見て起こすのをためらったようです。
それでも機転の利くBさんは山小屋のスタッフに無理を言って朝食をおにぎりに変更してもらい昼食も用意してもらっていました。
ほかのメンバーはBさんに感謝しながら小屋の前で遅めの朝食をいただきます。
結局出発は9時前になってしまいましたが天候は晴れで目の前に奥穂高が見えており、これなら今日は楽勝で山小屋に到達できそうだと考えた4人は気楽に進みます。
途中でCさんのイビキの話で盛り上がりながら気分良く進んでいきます。
やがてザイテングラードという難所が近づいてきた頃、少し足を踏み外したDさんが小石を下に蹴って落としてしまいました。
大したことではないと思ったDさんはなに食わぬ顔で進んでいるとしばらくして後ろから追いついた登山者がすごい剣幕で4人に怒鳴りつけました。
「落石したらラックとからく~って叫ぶのが常識だろう?何故言わないんだ~」4人はなんのことかわかりません。
その登山者は「下からたまたま見上げたらあなたが石を落とすところを見かけたから怒っているんだ。」と説明しました。
どうやら先ほどDさんが落とした石のことで怒っているとわかったDさんは心中{なによ~そんなに大した大きさでもない石で大騒ぎするなんて・・・大人げないわ~}と思ったのでその登山者に食ってかかりました。
元々気の強いDさんです。泣き寝入りするつもりはありませんので文句を言い返したところその登山者だけではなく周囲の登山者たちも呆れ果てて「あのね~もしその石があなたの大切な人の頭にでも当たって怪我したらあなたそんなのんきなことが言えるの?落とした人を許せるの?その石が原因であなたの友人が滑落でもしたらあなたは平気なの?」とその中でも物腰の柔らかそうな方が諭すように教えてくれました。
確かに冷静に考えればその方の言うとおりなのですがDさんは理屈では理解できても感情がいうことを聞きません。
ギャ~ギャ~喚くDさんをなだめてその場を収めようとAさんはしながら内心{もうこの人たちとどこかに行こうと思わないだろなあ}と漠然と思いました。
最初に怒った登山者は呆れ果てて「マナーもへったくれも無い人間はいるもんなんだな~」と捨て台詞を吐いてその場を立ち去りました。
気まずい雰囲気のまま無言で進んでいく4人・・・と今度は最後尾にいたCさんにほかの登山者が「スイマセンが道を譲ってもらえませんか?」と話しかけてきました。
そうです、この4人結構遅いペースで歩いていたため知らず知らずの間に後ろが交通渋滞になっていたのです。
普通のパーティならこんな時は最後尾の人が先頭に声をかけて後ろからきた人に道を譲るのが基本マナーなのですがそんなことも知らない4人は何も気にせず自分のペースで歩いていたため後ろの人がたまらず声をかけてきたのでした。
慌てたCさんは他の3人に「後ろから人が来てます。避けてって言ってます。」と声をかけました。
普通なら素直に避けたのでしょうがDさんは先ほどのこともあり「なによ~ここは公道と同じでしょ?偉そうに~」と無意味な逆ギレをしてしまいました。
すると声をかけてきた人が追い抜きざまに「マナーも常識もない人は登山なんかしないほうがいいんじゃない?」と嫌味とも取れる言い方をして去っていきます。
するとそれまでずっと無言だったBさんがDさんに「お願いだからこれ以上他の登山者の方を怒らせないで、これから向かう奥穂高山荘にもさっきの人たちが宿泊するかもしれないから。」と言ってきました。
するともう歯止めが効かなかったDさんの感情はここで爆発することとなり「じゃあもういいです。私ここで失礼します。と言ってとっとと来た道を引き返し始めました。慌てて仲の良いAさんとCさんが止めに行きます。
すったもんだがしばらく続きましたが結局AさんとCさんの努力のおかげでなんとかその場は収まり夕方4時過ぎには奥穂高山荘に着くことができました。
この山荘では行き先がかなり別れたため涸沢ヒュッテよりは快適に過ごせそうな環境になりました。
それでも昨日のこともありますので寝る用意をさっさと済ませ出来るだけ夜風で体を冷やしてから就寝しました。
おかげで昨日よりぐっすり眠れた4人は今度こそ早朝に出立することができ奥穂高山頂から紀美子平まで快調に進みます。
ところが紀美子平から先は鎖場もある難所で元々怖がりのCさんはとうとうここでへたってしまいます。
「もうやだ~こんなところあるなんて聞いてないし~」べそをかくCさんをなだめて難所をやり過ごしますがここから上高地までまだまだ遠いのに少し歩いてはすぐ休憩を取りたがる3人にBさんはイライラし始めます。
「早く降りないと日が暮れてしまうわよ?」ついつい口調が厳しくなりますがもう気にしていられません。
今日中にみんな家に帰らないと何かとまずいのでほかのメンバーも渋々従います。
結局時刻は大幅に遅れなんとか上高地のバスターミナルにたどり着いたのは最終バスの2本ほど前でした。
当然ですが温泉どころではなくなったのでそのまま帰路に着いたのですがこれ以降この4人が一堂に会することはなくなりました。

どうでした?結構リアルでしょ?実話ではありませんが迷惑をかける行為は私が実際に見た光景を混ぜているのでまるで実話のようにリアルだったでしょ?
意外とこんな感じの人たちを見たり聴いたりした人は多いんじゃないですか?
後、ここに付け加えるとしたら大声で会話するとかなんですが・・・実に迷惑ですよね?
でも実際は本人たちに悪いという自覚がないのでもっとタチが悪いのです。
どうですか?皆さんのグループは大丈夫ですか?出会いときっかけは大なり小なりこんな感じでパーティを組んでいませんか?
人は弱い生き物です。だからお互いに協力をしていかないと生きていけません。
ただ、普段からの付き合い方が大事です。
ただの仲良しグループではよほどの信頼関係が無いとちょっとしたことでこんなケースに陥ります。
俺たち、私たちは大丈夫と思っているそこのあなた、その自信の根拠はなんですか?
私が30年来の友人としかパーティを組まないのもそこに由来します。
この友人となら生死を共にしても悔いはないと言い切れる間柄だこそ色々な険しい山にも行けるのです。
どうしてもこの友人といけない場合は私は単独行を選びます。
またどうしてもほかの方を連れて行く時は友人をリーダーに私がサブリーダーを務め、徹底的にコースを選定してみんなが安全に無理なく楽しめる山行をチョイスします。
もちろん事前にマナーをしっかりレクチャーしているので我々のパーティでは事故や不快感を持つことなく楽しい山行をしています。
何遍も言っていることですが山は非日常です。
通常の社会生活が通用しないのが山です。いつも以上に謙虚に挑みましょう。
ああ、言い忘れましたが紀美子平での件は私が実際に見た光景です。
かわいそうに足が弱かったんでしょう、中年の女性が泣いていらっしゃいました。
私はそれを見て「ああ、この人はもう二度と山へ登ろうとは思わないんやろな~」って思いました。
山は楽しいです。景色も素晴らしいです。しかしそれは奇跡が揃った時のみです。
いい天気に恵まれ素敵な友人に恵まれ頑張って鍛えた肉体があってこそ訪れる歓喜の瞬間なのです。
何も努力をせずただのご近所や仲良しグループではいつかは上記のドキュメンタリーのような自体に陥るでしょう。
皆さんが素敵な山行を楽しめるよう心から願います。
ではでわ~~(今回は大作になった~疲れた。)